1999年度チベット遠征第一隊 気まぐれ日記

羊八井での作業報告だけを読む

8月8日

今日から綾部、伊津、日比野の3名が8月27日帰国予定で中国入り開始。
成田から北京。現地時間午後7時半頃北京空港に到着するも出迎えの人は見当たらず。単独でホテルに行ってもよいのだが、また行方不明と噂されるのも癪にさわるので待機することにする。結局、2時間近く待つことShiさんが"Sorry!"と現れる。
予約を入れてあるHoliday Inn Down Townに10時過ぎにチェックイン。綾部、伊津でツイン、そして私のシングルという組み合わせである。

8月9日
10時半に高能研に行き、Tanさんところで成都までの航空券を受け取り、現状について話を聞く。チベットへの入臓許可証は本日ラサで発行されて、オリジナルが成都に郵送されたと吉報である。成都で5~7日くらい待てば、ラサ行きの航空券も取れるだろうと聞く。その後、Renさんの研究室に行き、水谷先生から預ったというレターを渡し、挨拶をする。昼食はポンさんに連れられて、所内のレストランで取る。
午後はホテルに戻る。途中、折畳傘を地下鉄内に忘れて、駅前のデパートで買い直すはめになる(33元)。夕食はホテル1階のOasisで私はオージー・ステーキ(不味い)、綾部君はカツ丼(旨い)、伊津君はパスタを取る。

8月10日
ホテルを午前7時半に出発して、北京空港から成都に向かう。成都空港にて西南交通大のJiaさんが迎えてくれる。航空券の手配がどの位かかるか分からないので、空港からバス(10元)に乗り、錦江賓館にチェックインする。明日の夜、Jiaさんに北京で受け取った入臓許可証のコピーを渡し、航空券の手配を依頼して、再度明日の夜、ホテルのロビーで落ち合うことにする。夜は8階の日式レストランで私はうな重、伊津君はカツ丼、綾部君は鍋焼きそば(日本蕎麦の鍋焼きで美味しくないそうです。当たり前か。)を取る。
久々にデジカメを取りだしてみるが、レンズが出て来なくなっており、故障みたいである。まだ今回は1枚も撮って無いので悔しい。

8月11日
1日中雨で特に何をするというわけでもなく、夜を待つ。昼はホテルの中華、夜はホテル前のファーストフードでハンバーガーやチキンを取る。
午後7時にJiaさんが旅行代理店の人とやって来て、ラサまでの航空券が取れたことを聞き、手数料100元込みの料金を払った上で航空券とオリジナルの入臓許可証を受け取る。

8月12日
ホテル前を午前5時に出るはずの民航バス(8元)を待つ。定刻は過ぎたが取り敢えずバスは本当に来る。しかし、出発は5時20分過ぎであった。我々の予定の便は7時50分なので問題なし。なんとラサ行き便はエアバスのジャンボタイプ(?)である。定刻を1時間以上遅れて飛び立つ。
クンガ空港にはチベット大のTensinさんの迎えがあり、そのままラサホテルに直行する。明日、彼に民航オフィスに付き合ってもらう約束をする。午後、Chenさんとモンシェンルーさんがホテルにやって来る。今後のスケジュールを伝え、車の手配を依頼する。
伊津君はただベットに横たわるだけだが、一方綾部君はイキナリ、ピザ半分とホットドックを食べて、有頂天である。

8月13日
午後2時にTensinさんとホテルで落ち合い、民航オフィスに向かう。午後の受付は3時からだと聞き(彼の友人がオフィスにいるそうだ)、しばらく待つことにする。購入開始後、旅客数の2割は一般客以外のためにキープしてあることを教えてもらう。これを買うには彼のコネとパスポートをしばらく渡すことが必要なため、当初の予定の便は諦めて、24日午後6時40分発成都行き(タイムテーブルには存在しない便)と25日昼の北京行きの航空券を入手することにする。
夕食はホテル近くのラーメン屋でシャーゴーメンと水餃子で済ます。

8月14日
早朝から綾部、伊津はガンデン寺観光へ、私は睡眠学習をする。昼過ぎ、近所のラーメン屋で牛肉面を取る。ホテルに戻る途中に伊津君がパック牛乳を購入して、これが大当たりとなる。夕方タクシー(一律10元)でダウンタウンに向う。ヤクホテル近くのThird Eyeというカレー屋を捜すが無くなっていた。結局、ジョカン近くに同じ名前のレストランを見つけ、そこで食べる。チキン・カレーとナンは美味しいが、ライスは不味い。

8月15日
午後2時に車の迎えがホテルに到着する。何故かCCTVの人がVTRを担いで、便乗している。英語は駄目みたいで、目的が分からないがとにかく羊八井に行くみたいである。途中何度も車を止めてはVTRを回して、風景などを撮影していた。この時点では「チベット紀行」みたいなプログラムの収録だと思っていた。
羊八井観測所到着、何故か彼も一緒に下りる。観測所にいた山東大の学生(王)を介して、彼がこの観測所の撮影が目的と説明を受け、我々に取材への協力を求めて来た。特に断る理由も無いので、適当に協力することにする。数分間のインタビューもしたいそうで、これはやる気満々の伊津君に受けてもらうことにした。

羊八井日本人住居は衰退している!

・洗濯機が南館にしか無い。
・テレビのアンテナ等が外され、南館に移設されたためテレビはただの箱状態である。
・北館の温水シャワー装置が壊れている。応急処置はしたが...。

8月16日
今日は本来なら明日からのチェンバー解体準備のために、見栄えのする大技は何もないはずであるが、 CCTVの要求に応えるために(VTRが勝手に回るので)綾部、伊津両君は何時になくオーバーアクションで元気一杯である。
それから9月の拡張に邪魔になるバーストアレイのチェックを行う。12台の検出器を移動させないといけないことが分かった。
そのほか理研の中性子モニター用コンピュータのディスプレイが8月14日晩に壊れたという報告を受けたので、こちらのオフライン解析用コンピュータのディスプレイとひとまず交換した。

8月17日
朝9時から夕方6時までの予定で、現地ワーカー6名、中国人2名、日本人3名でチェンバー解体を行う。夕方5時半頃にX線マーカーが動作しなくなり、本日の作業は終了。3/4のチェンバーの解体を終わる。X線マーカーはケーブルの接触不良と分かり、修理。

8月18日
朝9時から作業開始。午前10時半には残りの解体も終了する。次に拡張アレイの架台3台をハットの屋根に設置する作業に入る。クレーンがあれば、一瞬で終わる作業なのであるが、かなり危険な人海戦術で正午までに架台を屋根に上げることに成功する。
午後はハットの屋根に設置されている使っていない太陽熱温水器を移動して、所定の場所に架台を設置する。
その後はバーストアレイの撤去および移動を開始。28台のシンチレーション・カウンターは取り外し、バースト小屋に回収し、12台に関しては場所を1m程度移動して、拡張の邪魔にならないようにする。午後5時45分頃に作業を終了。

夕食後、久々にシャワーを使おうと試みるがバルブ付近が壊れていることが判明。綾部君は南館のシャワーを使いに行き、残り2名は復旧作業を行う。最終的に倉庫にあった堀田シャワーのホースを流用して、シャワーを浴びることに成功。一方、南館に行った綾部君は寒い顔をして戻ってくる。

8月19日
午前9時半頃からコントロールルームに隣接した居室の家具を南館に移動し、15cm四方の穴を壁に開ける作業を現地ワーカーが開始する。指定された場所は穴を開けていくと建て物に埋め込まれた電源ケーブルと鉄骨が出てきた。これを傷つけないように作業を進めてもらう。
午後は綾部、伊津で回収したフィルムやフォトマルの整理を行う。野外ではワーカーによる拡張アレイの架台の設置が行われる。

8月20日
今日も昨日に引き続き、回収したフィルムの整理と日本に発送するためのパッキングを行う。それにしても雨が降ったり止んだりと憂鬱な天気が毎日続く。

8月21日
各所の掃除および屋内に置く予定の拡張アレイの架台を6台設置する。また昼前から、地方放送局のスタッフがモンシェンルーと共に訪れ、撮影を行っていた。
午後2時より4時頃まで綾部、伊津は羊八井温泉プールでひと泳ぎ。夕方、ワーカー人件費を支払う。
今晩が今年最後の羊八井の夜となるが、後悔はない。やるべき仕事は全てやり終えたつもりである。ただひとつあるとすれば、連日の悪天候のため一度もネンチェンタングラ山脈の頂きを見ることが出来なかったことである。

8月22日
ラサに下りる。X線フィルムも午後にチェンさんと一緒に下りてくるはずである。その後にモンシェンルーと共にホテルまで来るはずであるが、結局来ない。モンシェンルーとは夜遅く連絡が取れて、明日の午後1時に会うことになる。

8月23日
Zzzz...。
モンシェンルーらと会い、フィルムの発送手続きが終了したことを確認。車のレンタル代1600元を支払う。夕食はダウンタウンの「スノーランド・レストラン」で取る。私はチキンカレー、結構いい。綾部君のパスタは美味しく無いようである。

8月24日
なんと午後6時40分発のラサから成都の便である。タイムテーブルにはない便であるが、チケットにそう書いてあるのだから信じることにする。だから、ホテルへの迎えも3時とした。時間があるのでお昼は再度ダウンタウンの「スノーランド・レストラン」である。私と伊津君はホットドック(15元)、綾部君はヤクのペッパー・ステーキ(30元)である。このステーキは久々のヒットである。この店に来たら是非注文したい逸品である。
9時過ぎに成都に到着、空港前の巨恐酒店で3ベットルーム(270元)にチェックインする。一応英語の喋れるフロントレディがいたので、大西君名で第2隊の予約も入れることに成功。3階の部屋であったが、12時近くまでカラオケの音が部屋に響いてウルサイところである。

8月25日
正午の便で成都から北京に向かう。チャンジーロンさんが出迎えに来ていた。高能研のゲストハウスに直行、この日はタンさんは不在なので明日午前に彼らのオフィスに顔を出すことにする。一部屋180元と値上がりしてるみたいである。我々の部屋は一階であったが、ここは成都のホテルより酷いところである。一番の悩みは大量の蚊(モスキート)であり、これが睡眠の妨げになることとなる。ゴキブリも出るし。
晩はタクシーで「白雲」に出かける。ガラガラであったが、味は健在である。

8月26日
午前はタンさんところとレンさんところに挨拶に行く。レンさんの足は相当悪そうである。
昼は首都大飯店の「京樽」でランチ、午後は買い付けバイヤーと化した綾部君の土産買いに付き合う。もちろん建国門周辺である。夜は国際倶楽部の「櫻花園」のサイコロ・ステーキで締め括ることになる。

8月27日
北京 -> 成田。

以上、報告終わり。
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